邉見 公雄

邉見 公雄 全国自治体病院協議会 会長

邉見 公雄

全国自治体病院協議会 会長

 

「人間は食べられなくなれば先は長くない」とは昔からの格言である。日本人の平均寿命が男女共に80歳を超えたが、その原動力は医学の進歩や上下水道などインフラの整備による衛生状態の向上とともに、栄養の力も見逃せない。今回、WAVES Japanの発足始動にあたり、3つの期待を述べたい。

最初は設立目的である高齢者の低栄養対策である。病院で治す医療から地域で治し支える医療への転換で、在宅医療の重要性が増す。在宅では手術や大きな処置は困難で、経口的な薬剤治療や栄養療法が主とならざるを得ない。医科・歯科連携は勿論、医療・介護の多職種協働などの活動の中心になってもらいたい。独居老人や老々介護の方々の治療にあたっていると、その食生活の貧弱さに悩まされることが多いからである。フレイルやロコモの予防にもなる。

2つ目は、栄養を通じて日本の保健活動・教育を向上させていただけることを願っている。雨天時の体育の授業の隙間にだけ授業があり、進学競争にも役立たずということで御座なりにされている。また、若い女性を中心とする痩せ志向は妊娠や出産、授乳に悪影響を及ぼし健康にも悪い。

3点目。最近、子供の貧困が増え成長に必要なカロリーが摂れていないという調査結果が出て驚かされた。飽食の時代に、食品ロスの問題など色々な団体が対策を開始した。食育を含め学童期にしっかりと教え、食糧自給率の向上にも寄与すべきであろう。

これらの基本を社会全体で考える契機となることを期待したい。